猫は7階から落ちても大丈夫はウソ!

「猫が7階以上の高所から落ちても、終端速度は97kmで、ムササビ状態になってショックを吸収するから大丈夫。」という記事をチラホラ見かけます。これ、大嘘です。

米「サイエンス・タイムズ」の記事

1989年に発行されたニューヨーク・タイムズの別冊「サイエンス・タイムズ」にこういう記事が載ったそうです。まずは下の記事を読んでみてください。

 1984年の5ヶ月間に、ニューヨーク市の高層マンションからネコが落ちた事故のうち、何階から落ちたかという獣医師の記録があるのは129匹である(2階~32階)。うち、死亡は8匹だったが、驚くべきことに、階が高いほど生存率も高いという事実が判明した。7階以上から落ちたネコ22匹のうち死んだのは1匹だけ。9階以上から落ちた13匹はすべて生き延び、しかも骨折は1匹だけだった。
なぜ高階層から落ちたネコのほうが生存率が高いのか? 獣医師の説明によると、ネコは、落ちると「終端速度」(それ以上速くならない最高落下速度)にすみやかに達する。それは時速60マイルで、人間の大人の終端速度の半分。この終端速度に達するまでは、ネコは脚を突っ張って抵抗するので、着地したとき怪我をしやすい。しかし終端速度に達した後は、ネコはリラックスし、脚をムササビのように広げるので、空気抵抗が高まり、着地時に衝撃が均等に分配されるのである。

なんの予備知識もなく、この記事を読んだら「へぇー!」って納得して感化されますよね。ところが、この記事の信憑性を計る統計データとして、大きな欠陥があります。それがこの点。

  • 病院に搬送されず落下死した猫の頭数が入っていない

獣医師の発言ということは、飼い主が病院へ搬送した数ということになります。落下して、もし死んでしまった場合は病院へ搬送しないですよね?7階以下から落ちて無事だった場合も同様です。

つまり「7階以上から落ちたネコの方が生存率が高い」という証拠にはなりません。

この話し、心理学の世界では有名な話しらしく「数字の罠」の題材として良く使われているそうです。って偉そうに言ってますが、ワタシも今日、教わったのですけどね。

サイエンスタイムズの記者が、獣医師にインタビューした際、獣医師が「ジョーク」のつもりで話したことを真に受けた記者が記事にした、というのが真相のようで、後に「サイエンス・タイムズ」が謝罪しています。

落下するとき、猫はリラックスしません!

この記事がまことしやかに出回っているようで、ネット検索すると「アメリカの研究で7階以上から落ちた方が生存率が高いことが判明。」とか「空気抵抗が高まるから、高い所から落ちても平気。」とか書いている記事を見かけるのです。「サイエンス・タイムズ」の記事を鵜呑みにした記事だとすると…

ぜんぶですから。

「ウチは7階だから、ベランダから落ちても大丈夫だ!」なんて絶対に考えないでくださいね。世界中を見ると、確かに高所から落ちても無傷だった猫の例が出ています。例えば、こういう記事。

これってただ単に「運が良かった。」だけなのですよ。記事中には「ムササビ状になって云々」と書いてますが、これも「サイエンス・タイムズ」の嘘なのです。
いくら猫の運動神経が発達しているとは言え、高所から落ちれば通常は怪我をしますし、下手をすれば死にます。
猫は元々、木の上で生活していた動物です。DNAレベルで高所での対処法を身につけていますし、落下時に身体をひねって、必ず脚から着地することもできます。とは言え、太ってる、運動神経が鈍いなど個体差もありますし、ましてやマンションの7階、つまり20mくらいからの高さから落ちることなんて、猫は想定していません。

猫って本当に落ちるの?

落ちるんですよ、これが。但し、人間のように「自殺」の手段として飛び降りる猫は絶対にいません。落ちてしまうのは何かしら理由があります。想像するに、こういう理由でしょう。
  • 自分がいるところの高さを認識しないまま、乗れると思ってバルコニーの手すりにジャンプした。
  • 普段乗っている場所だが、通常は置いていない段ボールや箱など、ジャンプを阻害する要因があった。
  • 普段乗っている場所だが、雨が降っていた or 氷が張っていて滑った。
  • 鳥や昆虫など、他のものに気を取られていた。
  • 飛び移ろうとして、滑った。
こんな動画の子のような…。(動画の猫は無事なのでご安心を。)

“Curiosity Killed The Cat”という諺があるように

あまり神経質になるのも考えものですが、不用意に猫をベランダに出すのは止めることをお勧めします。猫は好奇心の固まりなので(これも個体差が激しいですけどね。)乗れそうな所はとりあえず意を決してジャンプして乗ってみようとする子が多いのです。不運にも運動神経が悪くて落下という事態は多分に想定できます。

飼い猫を安全に生活させる事も、飼い主の役割です。

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