日吉の崖地に戦国武将

緑で鬱蒼としてました。イメージです。

京王線と東横線に絞って、土地を探していた時のことです。一軒の不動産屋さんから電話がきました。「横浜日吉市に、崖地の売り物件が出ました。まだ一般市場に出回っていない物件でご興味ないかとお電話しま
した。」と。「もちろん興味あります!」とまずは資料をメールで送ってもらうようにお願いしました。
届いたものは、住所とおおよその大きさが書いてあるだけのアバウトなシロモノで、全く想像がつきませんでした。しかしその大きさがなんと約200坪!値段も書いておらず、とりあえず不動産屋さんへ電話です。

私「ご紹介頂いたあの崖地、一体おいくらなんですか?」
不動産屋「えーと、詳しくは分からないんです。」
私「は?」
不動産屋「一般に出回ったものではなくて、お得意さんから回ってきた話なんで具体的な内容を知らないんです。」
私「…。とりあえず現地を見に行きます。」

値段も調べないまま人にレコメンする姿勢はそもそもどうなんだ?とも思いましたが、その週末、現地に赴きました。

現場は、上の写真のようなイメージで、新興住宅地の一角にありました。
建売りの住宅が並ぶ一番奥まったところに一見、駐車場のように見える場所があり、そこが崖地の「入り口」でした。崖の淵から下を見るとやや緩やかに20mほど下に続く土地形状、下は木々に覆われていて地面が見えません。

不動産屋「ココが入り口になって、下に降りて行く感じですね。地下2Fになりますけど、実際は3階建てって感じですね。3階から下に下がっていくイメージです。」
この時点で私はかなりワクワクしていました。
崖地に建つ家とは、こんなイメージです。

とある崖地に建つお家。カッコいい!

高台の崖地なので、見晴らしが良く、木々も生い茂っているので環境は良さそうです。日吉駅からは坂を登らなければならないものの徒歩8分ほど。これって、結構、好物件なのでは?

不動産屋さん「ここから下に見える木々がありますよね。ここ全部が敷地です。」
我々「!!」
ひ、広い!想像以上のスケールです。

ワクワクしながら下に降りようと脇の木製階段を下っている時、不動産屋さんが口を開きました。

不動産屋「あのー、ちょっと言いづらいんですけど…。ココ、お墓なんですよ。」
我々「え!?お墓!?(先に言ってよ!)
不動産屋「いや、と言っても戦国時代の武将のお墓で、お骨はすでに移設してあるんですよ。でも墓石自体はまだ残っていて。あ、あれです。」

と指さす先には、まあ立派なお墓が。上からは木々に隠れて見えなかったのですが、墓と灯籠、参道が敷地の一番良い場所、ど真ん中に設置されていました。

私「これ、どうするんですか?」
不動産屋「撤去してもらっていいそうです。その代わり小さい祠を作ってほしい、と。」
私「ほ、ほこら??撤去費用もバカにならなそうですね、ここまで大きいと。そもそもこの土地の値段も分からないし。」
不動産屋「値段なんですが、この後、事務所へ売り主さんにお越し頂きますので、そこで詳しく。」

武将のお墓、のイメージです。実際のお墓ではありません。

妻「ちょっと、お墓なんて嫌だよ。」
私「あのな、墓が嫌なんていったら、世界中どこにも住めないぞ?人間が誕生してから何万年経ってると思ってるんだ?こんなに狭い日本だけで考えても1平米辺り、過去に何人死んでると思う?」と訳のわからないへ理屈で、とりあえず妻を黙らせ、事務所へ向かいました。

事務所に着き、しばらくすると売り主が登場しました。

こんな感じ。写真はサンドウィッチマン。

売主「どうも!〇〇商事の〇〇っす。

と名刺を差し出すサンドウィッチ伊達。いや、伊達似の〇〇商事社員。ん?売主って企業なの??(以下、仮にこの人のことを伊達と命名)

伊達「あそこ、良かったでしょ!?あの分譲、うちで開発したのよ。中途半端に余っちゃって、ほんとはオレが個人的にあそこ買って家作ってから売ろうと思ってたんだけど、銀行から、あなた作ったらすぐ売っちゃうでしょ?って言われちゃって!ガハハ!」

金縁眼鏡に、右手には金色のロレックス。短髪具合といい、小太り具合といい、分かりやすい「チンピラキャラ」を全面に押し出す伊達。この時点でかなり引いてます、我々。

伊達「で、お宅ら幾らで買うの?昨日もさ、栃木の家族が『どうしても買いたい』って連絡入っててさ、それ、押さえてんだよね。」
私「今日見たばかりで、実際の広さも分からないし、お墓の撤去に幾らかかるのかも分からないし、実際に建てる際の地盤強度も分からないのに値段なんか付けられないですよ。」
伊達「ちょっと、勘違いしてない?墓は売らないよ?あそこ以外の土地だから。」
我々+不動産屋「は??」
伊達「だから、墓石あったでしょ?あそこは売り物じゃないの。その周り全部ね。十分家建つでしょ。2000万でいいよ。で、いつ入金できる?今週なんとかしてよ。」
私「いりません!!好きに栃木の人に売ってあげてください!」

と怒り心頭で事務所を出てきてしまいました。この一ヶ月後、ここを紹介した不動産屋から電話が入りました。「お世話になります。○○ホームズの○○と申します。以前担当させて頂いた□□は、退社致しまして、私が担当させて頂くことになりました!良い土地と併せて建築プランを作りましたんで、お伺いしたいんですが!」
やっぱり辞めちゃいましたか。コレが原因じゃないことを祈るばかりです。そしてあの崖地はいま、どうなっていることやら。

その後も、数多くの不動産屋さんから同様の電話やメールを頂きました。離職率、高いみたいです。

こういういい加減でやくざなイメージがつきまとう不動産ですが、実際にその通りな側面もあることを身を持って実感した出来事でした。
もちろん、ちゃんと良識を持った不動産業者もたくさんあると思います。

良い不動産屋さんに出会えて、良い不動産に出会えるか、これはもう運です。
運を広げようとすると、いろいろと香ばしい人たちに出会うというドラゴンクエストのような面白さがあるのもまた事実ですが、土地を買おうと思っている方は、実際に実践して、買う前に経験値を上げて、せめてスライムが倒せる位になってから購入に踏み切ることをおすすめします。

Category