大家さんにペット飼育を断る権利は、ない。

「どこの国の話しだよ?」とお思いでしょうが、

ええ、フランスの話しです。

フランスのアパート(アパルトマンと言います。)やマンションなどの集合住宅では、ペットの飼育が許されています。それも法律で。

家主は「ペット不可」を掲げてはいけないという法律

つまり家主には愛玩動物を一緒に飼育する入居者を拒否することができない、のです。

こういう投稿が横行する日本においては羨ましい限り。という論調のパリ在住者や動物関連のブログ記事を眼にすることが多いのですが、ここではもうちょっと突っ込んだ実情を書きたいと思います。

フランスの飼い猫の数、1,000万匹!

フランスでは、ペットを1匹以上飼っている家庭数の割合が全世帯の50%を超えているそうです。内訳を見ると、1位 魚、2位 猫、3位 犬となっています。魚は複数匹飼っているので圧倒的に数が多いのですが、意外なことに犬より猫が若干が多く、なんとその数1,000万匹以上とのこと。犬が900万匹なんだとか。
対して日本は、全世帯の10.2%、554万世帯で猫が飼われていて、総数975万匹。
「へぇ、フランスでは犬より猫の方が人気なんだねぇ。」と思いますよね。実際、日本のペット事情を見ると飼育割合の70%以上が犬で、猫はわずか10.2%なのです。それが犬より多い理由の一つに「住環境」があるのではないかと思います。

パリの部屋は狭い

パリに焦点を当てて考えてみましょう。パリの街は行政区で1区から20区までの番号で振り分けられていますが、住環境はニューヨークのマンハッタンや香港並みに悪く、「高い・狭い・汚い」が当たり前だったりします。住みたい区も集中する傾向にあり、人口密集度も高いのです。

そして前述のように大家さんは犬猫を飼う入居者を拒むことは法律でできません。加えて、日本は壊しては建てるを繰り返し、街の景観にそぐわない奇抜な建物が出来ても文句が言われない世界的に見ると希有な、建築家天国な国ですが、フランスでは建物自体に規制があるため日本のように自由に新築を建てることが出来ず、現存のアパルトマンも100年の歴史のある建物ということが普通のことです。家主としては、再建築不可な物件をこれからも末永く使っていかなければならないのです。

そうしたとき、大家さんはどうするのか?

入居者のチェックを厳重にやるのです。

社会的地位や収入はもちろん、この人はちゃんとペットが飼える人か、いままでペットを飼っていたか、定住する気があるのか、といったことを内覧時、こと細かに聞くのです。

パリのアパルトマンは古い建物が当たり前で、防音対策なんか取ってないのが当たり前なので、ちょっとした物音や足音に敏感です。日本でもそうですが、ペット可集合住宅でしばし問題になるのがこういう騒音問題。パリでも犬を飼う場合は、ことさら念入りに調査されます。

そして結構な割合で断られるのです。

入居を断られる理由

「え!?ペットは拒めないのでしょ?」
はい、別の理由で断られます。

「あなたはペットを飼う資格がない。」「日本人?猫を飼うの?パリに定住する気がないでしょ?猫がかわいそう。」「そんな大型犬種、あなたには飼いこなせる訳がない。」などなど。結構、直球で断られることもあるようですね。東洋人が借り主の場合、多分に人種差別的な判断も多そうですが、断られるのはパリジャンも一緒。

そうすると必然的に「(比較的)大人しく、泣きわめかない」猫の方が人気になったのではないか、と思うのです。

パリのスーパーマーケット(庶民向けのところ)にあるペット用品売り場を覗くと、犬用と猫用が約半々くらいの割合で陳列されており、ちゃんと猫砂を売っています。旅行者の感覚なのでいい加減(苦笑)ですが、猫砂を売ってる一般スーパーマーケットって、ヨーロッパだとパリくらいな気がします。イタリアではついぞ猫砂を見かけることがありませんでした。(郊外のホームセンターとかで買うのかもしれませんけど。)狭い居住空間に臭いを吸収してくれる猫砂は必需品ですからね。

とは言え、猫にとって住み良い街であることは変わりないことなので、日本もそうなると良いなと思ってます。ここまでラジカルじゃなくても良いので。

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